富士見町で見つけた“和”の暮らし

夢のアトリエで創作活動中  鈴木さん

今回取材させていただいたのは富士見町に単身で移住された鈴木奈々さん。
「一人暮らしをしてみたかった」という鈴木さんが静岡の実家を離れて富士見町にアトリエを構えて一年になります。富士見町での暮らしはどのようなものなのでしょうか?また、富士見町に移住したきっかけは?

富士見町に来るきっかけは。

鈴木さん:
私が恩人として敬っている方々が八ヶ岳に住んでいて「アトリエも構えたいんです」とご相談したら、「諏訪がいいんじゃない?」とご提案頂いて。その当時は富士見町の事も知らなくて。そんな時にお世話になっている知人から原村在中の方をご紹介頂き、有り難いことに八ヶ岳界隈を案内いただけることになったのです。この偶然の出会いがのちに仕事の幅も広げることになりました。この方々のご縁がなかったら富士見町への移住はなかったと思います。

それがいつくらいのことですか?

鈴木さん:
2021年の10⽉だったかな。知人の方が富士見町の⼄事の稗之底村(ひえのそこむら)というエリアをご案内してくださって。
※稗之底村(ひえのそこむら)とは数百年前に廃村になった村。標高約1400メートルに位置しており、豊かな森林や湧き水など、隠れ観光スポットとしてファンも多い。

訪れた瞬間に、その空気感がとっても心地よくて「こんな場所で暮らして創作活動したい」と直感し11⽉に再訪し、富⼠⾒町のウツリスムステーションへ⾏きました。
鈴木さん:
当時、移住相談がちょうど40件くらいのキャンセル待ちだと聞いていたのですが、ダメ元で顔だけ出しに⾏こうと思い行ってみたんです。
まずはご挨拶と思い伺ったら「丁度鈴木さんに合いそうな、良い物件があるから⾏ってみますか?」という流れで、あれよあれよという間に決まっていきました(笑)
やっぱりこれはご縁があるのかなあ・・・と感じまして。10 ⽉に初めて訪 問。11 ⽉に物件を探しに行き、12 ⽉には内⾒していました。

その時はどちらにお住まいだったんですか?

鈴木さん:
静岡県の沼津の実家です。

ああ、じゃあ結構暖かい所から寒い所へ(笑)

鈴木さん:
本当にウツリスムの担当の⽅々の情熱がすごくて英気に溢れていて(笑)このお家も1週間以内に決めることができました。

賃貸の戸建て物件は本当に希少で、しかもこんな素敵な物件はすぐ埋まっちゃうんですよね。私もこんな素敵な物件があったらすぐに借りたいくらい(笑)って言ってました。

※鈴木さんが暮らす富士見町の戸建て。希少な賃貸での戸建て物件です。
築年数不詳・改築は平成20年の床面積約15坪平屋住宅(和室8畳+台所兼居間+物置)

富士見町の最初の印象ってどんな感じでしたか?

鈴木さん:
「実は稗之底村以外はそんなに見ていなかったんです(笑)原村などの近隣エリアも訪れてはいたんですが、稗之底村に行った時に、もう直感でここしかないなというか。ここに行きたい。通いたいとすぐに思ってました。後はアトリエがあればここに住みたいってなってたんです。」

富士見で20代女性が単身生活することについて

実際に今こちらではどのような生活を送っていますか?

鈴木さん:
今は、八ヶ岳の宿泊施設でお仕事をさせて頂きながら、アトリエで創作活動したり、自分で食べる野菜を目の前の畑で作ったり、お気に入りのデッキで朝⽇を浴びながら朝ごはんを食べたり、ボーッとしたり(笑)時間に追われた会社時代には想像もつかなかった時間を過ごしています。
一度富士見町に訪れてから、あれよあれよという間に移住していたという鈴木さん。

20代で単身で移住されて来られる方って結構少ないかなと思うんですけど、暮らしてみて どうですか?

鈴木さん:
「1人で寂しくありませんか?」って良く聞かれますが、引っ越してから「孤独感」を感じたことがないんです。富士見町は閉鎖的ではなくて、むしろすごくオープンです。採りたての新鮮野菜をお裾分けしてくれたり、家にあげてくれてコーヒーまでいただいたり「ご飯⾷べてくー?」なんてお声がけくださったり。みなさんびっく りするぐらい⾊々してくださいます。長期出張や実家帰省の際には畑のお世話までしてくださったり・・・。今年は年明け早々、年越しそばまでご馳走になりました。本当にありがたいです。ご近所さんの懐の深さに、人として大事なことを学ばせていただいてます。
栗⽣区で移住者で最年少と⾔われ、あたたかく⾒守ってくださっているとは 思いますが 同時に、どこへ行っても自分の付き合い方次第だとも思っていて、積極的に挨拶したり、何かお手伝いできることはないか聞いてみたり、実家に帰省際はお土産を渡したり、感謝の気持ちを表現するようには心がけています。余裕がある時は、雪かきも自分の範囲外も行ったり。とはいっても、みなさん朝早くから活動されていて、むしろしていただくことが多く、恩がえしには長い道のりです。(笑)
移住したら、チャレンジしたかった野菜作りですが、家の目の前で畑を借りることもできて念願の野菜作りに挑戦しました。もちろん、はじめての経験でしたが、近所の方が耕運機で畑を耕してくれたり肥料の与え方や富士見町の寒冷地に合う野菜を教えてくれたり、苗を分けてもらったりと本当に親切にして頂きました。その中でも一番感動したのが「ルバーブ」以前から興味をもっていた野菜でしたが、こんなに真っ赤なルバームはみたことがなく、根分けしてもらい収穫できたルバーブを酵素ジュースにしたりジャムにしたり手作りを楽しんでいます。友人にも瓶詰めにして送っては富士見町をPRしています!
また、採りたての野菜のお裾分けも本当に有難いです。最初は土のついたままの野菜や根っこのままの野菜にびっくりしましたが、土のついたままの方が保存がきくことを知り、生活の知恵も日々学ばせて頂いています。自然の恵みと人の温かさをたくさん受けた新鮮野菜で自炊することで生活の質も上がり心身共に豊かになりました。

富士見町に暮らして気づいた事

お話伺ってると、富士見町に暮らしていて不便を感じるみたいなところは特に感じられないんですけど、今年は特に雪も多く寒かったと思いますが、どうでしたか?

鈴木さん:
事前に富士見町の寒さの話は聞いていたので、それに⽐べれば、という感じです(笑)それでもやっぱり寒いので、冬の⽣活費は電気代や灯油代は嵩みますね。夏はクーラー代はかかりませんが、インフラに関しては、やっぱり都会より高くなっちゃうかもしれないです。ただ、そういった事もありますが、心身は豊かになりました。
 毎⽇の通勤路で⼋ヶ岳⾼原ラインを通るので、「ああ、こんなに綺麗なんだぁ」と思うと、少し立ち止まって写真を撮りたいなって思っちゃうくらいです(笑) 今しかないこの瞬間を味わないと景色がすぐ変わってしまうので、それは日々の意思決定にも自然と影響しているかもしれないと感じています。
より “⾃分”や“今しかないこの瞬間”を⼤事にするようになりました。それは富⼠⾒の⼟地で深く学んだことです。また、私が住んでいる集落のすごくいいところは何代も前からの地元の⼈たちの集まりなので、ギブアンドテイクというより、本当の意味で助け合い精神が強い印象を感じました。どんど焼きや御柱祭の催事に若い方の参加が多いことに感動しました。
お気に入りの散歩コースからの1枚。景色はすぐに変わってしまう。“今しかないこの瞬間”を大事にするようになった。

日々の生活がダイレクトに表現

今後の創作活動は?

物置をアトリエに自分で改装!憧れのアトリエで創作活動の幅を広げています。
墨絵作品も⼤きなものは 2m を超える。
これまでなかなか集中することが難しかったのが、ここにアトリエがあることによってちゃんと集中ができるようになりました。まだまだ未熟ですが。それに栗⽣は⽔がとても綺麗で、⽔の⾳がどこかで常にしているので研ぎ澄ませやすいというか・・・、すごい⼼地が いい状態で集中ができる環境なんです。それはやっぱり富⼠⾒町のおかげであり栗⽣区のおかげですかね。
今取り組んでいる綿棒を使った創作作品や絵の制作を極めて、内側を磨いていきたいです。終わりがないけれど。⼤きい 作品は 2m あるので、さらに⼤きな作品を沢山制作できる場所がほしいなと思っています。それか ら、染め、ですね。染⾊をしたいです。日本伝統の和紙を使って色々なものも作りたい。
⽣活のことに関しては、こちらでは和服⽣活をしてみたいな、と。富士見町は湿度が低くて寒く、着物は湿度が低い場所を好み正絹は暖かい。富⼠⾒町は和服の⽣活が合うんじゃないかな。そんな思いもあり、作品の納品には敬意と感謝もこめて着物を着ています。

これはすごく難しいかもしれないですけど、富士見町での今の暮らしを一言で表すとどんな暮らしですか?

鈴木さん:
“和”の暮らし、ですかね。

というと?

鈴木さん:
“和”、⼤和魂といいますか・・・。富士見町では、縄⽂時代からの繋がりも含めて日本人がいかにすごいかということを学んでいて。⾃然と共に⽣きていくうえで、⽇本⼈のしきたりはすごく理にかなっていると思います。そういう意味の日本人の“和”と、みんな和やかの“和”。それからみんなの助け合いで円環する“和”。それは平和の“和”でもある。そういう、色々な意味がかかった“和”の暮らしだなと感じています。その⽇本の美しい魂がそのまま未来に引き継がれているようなイメージです。

今回は、2021年の冬に単身で富士見町に移住された鈴木さんにお話を伺いました。20代単身女性の移住は珍しいケースといえますが、今ではご近所さんともすっかり馴染みになり、富士見町での暮らしを楽しんでいらっしゃいます。数々の出会いとご縁への感謝の思いを作品にも活かしたいと笑顔で熱く語る姿が印象的でした。
 また、4月からは消防団の一員としても仲間入り予定。富士見町の活動には積極的に参加し、少しでも恩返ししたいとのこと。
富士見町では、移住に関する相談を常時受け付けています。
興味のある方はぜひ一度お問い合わせください。

富士見町役場 総務課企画統計係 富士見ウツリスムステーション
(TEL)090-1119-9332
mail: utsurisumu@town.fujimi.lg.jp

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