20代からの夢を富士見町で叶えた人

富士見町 葛窪 Katzen Strecken 川出さん

今回取材させていただいたのは、富士見町の葛窪に移住してカフェをオープンさせた川出公子さん。20代の頃の夢だったカフェ経営を富士見町でついに実現させました。
まるでアニメの世界から抜け出たような素敵なお菓子屋さん。「Katzen Strecken」(ドイツ語で“ねこたちがノビする“という意味)にお伺いしてお話を聞きました。

20代の頃の“夢”や、“やりたかったこと”っていうのをやろう!って決めました

最初に簡単に経歴を教えていただけますでしょうか。

川出さん:
出身は愛知県の豊川です。高校を出てからは、親に無理を言って東京の製菓専門学校に行かせてもらいました。そのまま20代はずっと東京で仕事していましたね。その製菓学校でそのまま助手、教師として勤め、その後お菓子屋さんにも勤めました。
でも、50代の終わりのときに、20歳くらいの時に持っていた“夢”や“やりたかったこと”っていうのをやろう!って決めたんです。
まるでジブリの世界から抜け出たようなお店の佇まい

富士見町でお店を開こうとおもった経緯は?

川出さん:
はじめは豊川の実家の近くの山間部の方を探していたんです。
私の弟が、以前勤めていた会社の農場が富士見町にあった関係で頻繁にこちらに来ていたそうなんですよ。その弟が「ちょっと遠いけど富士見町っていういい所あるよ」って教えてくれた事がきっかけで、「ウツリスム」も頻繁にチェックしていました。
「ウツリスム」を見ていると、素敵な物件がどんどん物件がアップされるので、いつかこの目で見てみたいって思っていたんです。
すぐに富士見町役場に連絡を取って、その時に見せていただいたうちの1件がこの物件だったんです。
本当に、正直、一目惚れという感じでした。
まず景観の凄さ。それから、建物に関しては特にこのデッキ部分。今はカフェにしていますけど、お店のイメージがすぐに浮かびました。それに、このカウンターの感じとかも。
「ここすごい!」って。

これがもうちょっと都会だったらありえない値段ですよね。土地も広いですし。

川出さん:
実はそれでも少し予算をオーバーしていたんです。
でも、一晩で決めました。役場の方も「もうちょっと考えなくていいの?」って。予算オーバーなことは分かっていらしたから役場の方もすごく心配してくださったのだけど
「これだけ心がときめいた場所だったので、決めました!」と。
そうしたら、役場の方もすぐに手続きをしてくれて、どんどん話が進んでいって、晴れて富士見町民になりました。
そこからお店を作るにあたって、店舗として使用するためにここをどういう風にリフォームしていこうかなって考えていた時に、役場の方から、創業支援の融資のお話や空き家改修に対する補助金等、色々と教えて頂きながら、リフォーム費用をなんとか工面する事ができて、それから半年後にようやくお店をオープン出来たんです。
素晴らしい景色を望むカウンター席。建物を見た瞬間、お店のイメージがすぐにうかんだという。

お店ができてみて、想像していたイメージと比べて実際はいかがですか?理想通り?

川出さん:
はい、理想通りです!でも理想が100%実現したからここで終わりですよ、っていう訳ではなくて、今も自分がこうしたいなって思うものを一つ一つ実現している感じ。例えばこういったランプシェード一つにしても、おいてある調度品一つにしても、業者さん任せではなくてたっぷり時間をかけて全部自分で選んで自分で手配しているんです。
お店に並ぶアイテムはすべて川出さんが時間をかけてじっくりと選んだもの。

本当にこのお店は自然に囲まれていて・・・そんな素敵なお菓子屋さんは他にあまり見たことがないです。ジブリの映画に出てくるんじゃないかっていう可愛さですものね。

川出さん:
皆さんすごく褒めてくださるんですけど、それは本当にこの環境のおかげ。このお店の一番の売りはそれじゃないかなって思っています。
お客様も、このお店の部分は新しく建て増ししたと思われている方が多いんですが「元々こんなだったんです。私はただ掃除しただけなんです」っていうと、すごくびっくりされるんですよ。私がここを初めて見た時の驚きと多分一緒なんでしょうけど。

もう、お菓子を作ることがすっごく楽しい

なるべく地元のものを使ってお菓子作りをしていきたいということですが、どういうラインナップなんでしょうか?

川出さん:
一人で作っているので、種類も少ないですし、それぞれ数も作りません。地元のものを使ってひとつひとつ丁寧に作っています。
地産地消というか。細々とですがここでやらせていただくにあたって地元のものを使うっていうのは絶対大事ですよね。ここで採れたものが一番新鮮だし。
まずは、イチゴですね。富士見で6月位から収穫が始まる「サマーリリカル」という品種を作っているということを聞いて農家の方に連絡を取ったところ、サンプルを持ってきてくださったんです。夏にこんなに綺麗で美味しいイチゴがあるんだって驚きました。洋菓子をずっとやってきたけどこんなイチゴは初めてでした。昔は夏のイチゴっていうのは輸入イチゴだったりして、白くて固くて。だから、夏場はメロンであったりとか白桃であったりとか別の果物でやって、イチゴはやらないところも多いんです。
「サマーリリカル」は、まだここ3年ぐらいの新しい長野の改良品種らしいです。お若い方が作っていらっしゃるんですよ。
季節ごとに変わる旬の果物をつかったお菓子が並ぶ。「地元のものを使ってひとつひとつ丁寧に作っています。」

地元のルバーブも使ってらっしゃいますね。

川出さん:
そうなんです。ルバーブも富士見町の特産なんです。
実は私にとってルバーブって、子供の頃に読んだ物語の中で出てきた憧れだったんですよ。ルバーブのパイ。それを読んだときから、ルバーブってどんなものなんだろうな、美味しそうだな、と。お菓子の専門学校時代に北海道出身の先生から聞いた話では、当時北海道にはすでにルバーブはあったらしいんです。でも、まだ本州には来てなかったんですね。生産量もすくなくて。それが、ここに来たらあるじゃないですか!50年前の記憶がよみがえってきて・・・。それも富士見町で作られているのは真っ赤!
今も富士見町の特産を使った、新しいお菓子を考えている最中です。
子供の頃からの憧れだった真っ赤なルバーブ。イチゴもルバーブも富士見町特産のものを使って。

実際にオープンされてみて、こういう景観の素晴らしい環境で実際にお仕事されていて、今までの人生や仕事と比べて変化はありましたか?

川出さん:
もともと作ることが好きでこの道に入ったので、ずっと無我夢中でやって来ましたけど、富士見に来てそれがさらに増幅されましたね。
そもそもまず自分が食べたいなと思うものしか作っていません(笑)次、何食べようかな・・・みたいな感じで次の商品を夢中で考えているっていうか。

より自分の仕事が好きになったということですか?

川出さん:
好きというか、もう作ることが、すごく楽しいですね。
何を作っていても何をしていても、夜遅くなろうがなにしようが、無我夢中で作り続けています。気がついたときには「あれ、もうこんな時間になっちゃったー」みたいな感じの毎日です。

充実されていますね。

川出さん:
もう、すごく、とにかく充実しています。すっごく楽しいです毎日が。
朝起きて、外を見て、お天気は悪くてももちろんそれはそれですごい風景だし。
10月はやっぱり空気も澄んで、カーテン開けるたびに山もすごいクリアに見えて、空気もとても透明で。冬は雪ですごく白くなって、神々しくて・・・寒かったけど(笑)

まだオープンして間もないですけど、これからどんなお店にしていきたいとか、富士見でこう暮らしていきたい、みたいな未来のイメージはありますか?

川出さん:
そうですねえ、お店をこれからこうしていきたいああしていきたいとか、なんていうのはあまり深くは考えていないんですけど・・・・、ここに来るまでは、毎日コツコツと自分で作って自分で売って、それなりに充実した生活をしていけたらいいなって思っていました。
ところが、ここに来たらなんだかやりたいことがどんどん増えたりするんです。何するにしても資金は必要なんですけど(笑)それを一つ一つ実現することを目標としてやっていこうかな、と。

そのなかで一つ、今やってみたいことを教えてもらえますか?

川出さん:
バイクです。実は20代の頃、仕事を辞めてバイクで日本一周してきたんですよ。北海道も回って。でも、結婚してから子供もできたりしてずっと乗ってなかったんですが、富士見に来たらタガが外れて(笑)ここはツーリングで立ち寄る人も多いですしね。
日本一周したときに出会った友人とか、特に北海道を回ったときの友人に、「富士見に移ってお店を始めたよ!」っていう手紙を出したらすごく喜んでくれたんです。
住んでいらっしゃるのは東京だったり三重のほうだったりばらばらなんですけど、何人かの方は実際に来てくださって!うらやましいことに、まだバイクに乗っていらして!
でも、これって多分富士見町だから35年ぶりに再会できたと思うんです。
多分、町で普通にお店やっていたら、こうはならなかったんじゃないかなって。
八ヶ岳がある富士見町のおかげだよねって、本当に思いました。それも1人だけじゃなくて2人、3人、4人と・・・・。やっぱり富士見町だからですよ。

今回は富士見町に新しくお菓子屋さんをオープンされた、川出さんのお話を伺いました。
20代の頃からの夢をここ富士見町で叶えた川出さん。
富士見町には、豊かな自然はもちろん、一人の夢を叶える為に協力を惜しまない様々な人々によって、支えられているんだと改めて思いました。ここ富士見町では、この町に暮らしたい、開業したいといった方々を全力で応援してくれる人がいます。

八ヶ岳と甲斐駒ヶ岳を望む“ねこたちがノビするお菓子屋さん” 「Katzen Strecken」で、川出さんが富士見の果物を使って一つ一つ丁寧に焼き上げたお菓子を、ぜひ堪能してみてくださいね。
富士見町では、移住に関する相談を常時受け付けています。
興味のある方はぜひ一度お問い合わせください。

富士見町役場 総務課企画統計係 富士見ウツリスムステーション
(TEL)090-1119-9332
mail: utsurisumu@town.fujimi.lg.jp

ARCHIVE