移住先でニュートラルな生き方を。

富士見町の中心地から車で約15分。山並みが美しいのどかな信濃境駅近くに家族で移住してきた鈴木慶(けい)さん。Appleの認定のエンジニアという経歴もあり、都内大手企業のMac、iPhoneなどの一括管理、ITコンサルタントとして、システム運用・構築を任される日々から一転。高い年収を得られる仕事を蹴ってでも富士見町への移住を決意した理由とは? 
地方での仕事のつくり方とは? 移住生活の気になるホンネを伺いました。

<大手企業のオファーを断ってまで富士見町への移住を決意した理由は?>

「東京生まれ東京育ちで、アップルのサービスプロバイダー勤務を得て、フリーランスのITエンジニアとして大手企業数社の情報システム部を転々としていました。移住が頭によぎったのは、今から10年前、311の地震を都内で経験したことが始まりです。都市機能が完全に麻痺したこと、都市という脆さを体験したからです。実際に行動を起こすきっかけとなったのは、2019年の5月に子供が生まれたことが大きいですね。都内にしがみついて過ごす理由を見つけられなくなっていたんです。ちょうどその頃、Facebookで見かけたのが、長野県の「おためしナガノ」の説明会でした。
※おためしナガノ:最大約5か月、オフィス利用料や引越し代、交通費等を補助する長野県独自の移住支援制度

子どもが生まれる直前に、別途数社から仕事のオファーをいただいていて、年俸もかなり高額提示をいただいていました。でも、これからの自分がどうあるべきかということを真剣に考えるようになっていた時期でしたので、子どもが生まれることはチャンスだと思い、思い切ってゼロからスタートすることに決めたんです。
また10年ほど前から登山を始めて、八ヶ岳へは度々訪れていたんです。まずは単身赴任でもいいから2拠点を始めようと思って応募しました。当時のおためしナガノの対象エリアは県内14箇所あったのですが、webサイトでみた森のオフィスの雰囲気が良さそうだったので富士見町を第一希望にして申し込んだんです。」

<移住への道のりについて>

「お試しナガノに応募してから、その1ヶ月後には森のオフィスに一人で視察しにきました。どんな場所かなって。その時に対応してくれた森のオフィススタッフの松田さんの応対がとても好印象だったのを覚えています。オフィス運営会社であるRoute Design代表・津田さんとは、趣味である山登りの話や音楽の話で盛りあがりました。共通した価値観のある方々がいるというのは、ここに来たい! という原動力になりましたね。その日は、町内の立場川キャンプ場でテント泊をしてから、西岳、編笠山に登って富士見町を満喫して帰路につきました。その後、おためしナガノから正式に合格連絡をいただいた時は正直ほっとしたのと、いよいよこの地に越してくるんだな、と思ってワクワクしましたね。」
富士見町立場川キャンプ場にて。視察後のテント泊の様子
「それから今度は物件探しに富士見町に来ました。森のオフィスのスタッフさんのご紹介で「富士見町で家を相談するなら強(つよし)さん!」と言われるほどのキーマン・西久保開発の細川強さんから紹介された物件に住むことになりました。後から知りましたが、富士見町では賃貸の一軒家はかなり少ないのが現状とのこと。いい家を紹介してもらったと思っています。信濃境という土地もとても気に入っています。」
移住後、阿弥陀岳山頂にて(森のオフィス運営代表 Route Design代表の津田さん撮影)
自宅には登山道具がずらり

<今のお仕事状況は?>

「こちらに来てからは、これまでの経験を活かした「なんでもmac相談室」という、いわゆるMac、iPhone、パソコン、IT機器、デジタル機器についてなら、なんでも相談乗りますよ!というようなパソコン相談屋さんを立ち上げています。その他、リモートワーク導入案件や、ネットワーク構築、カメラ撮影、映像制作、ライブ配信なども案件のうちのいくつかですね。」
森のオフィスでのお仕事のようす。この日はオンライン中継業務
「実は、長野県内にはAppleのサービスプロバイダーは長野市に1件しかないのと、デジタル機器について問い合わせしようと思っても、そもそも相談窓口がないので、ユーザーの方には重宝されているようです。いまでは毎月数件のペースでお仕事をいただけています。最近ではクチコミでお問い合わせいただくことが多く、知り合いの知り合いの知り合いの… といった感じで、ご近所さんに輪が広がってきましたね。
前職と比べると「なんとか食べていける」といった感じですが、それと引き換えに、人と人とのつながりができ、新鮮な野菜やお裾分けをいただいたり、他にも地元の方しか知らないローカルな情報を得られるのはとても嬉しいです。
時代とともに、仕事の形態も常に変化していくと思っているので、ひとつにこだわる必要はないと感じています。富士見町での生活は町独自の魅力や、特性もあります。それらを見極めつつ、いろいろな仕事に挑戦していきたいと思っているんです。東京にいた頃のように、見栄を張らずに、ストレスを抱えたまま仕事しなくたって生きていけますからね。もっと力を抜いたニュートラルな生き方、働き方があるんじゃないかなって。仕事がない日ももちろんありますが、それはそれで良いかなと思っています。」
ご自宅内の一角 作業スペース
自宅作業場でのMac、iPadのバッテリー交換修理
「なんでもMac相談室」のDM

<移住を検討している方へのアドバイス>

ご自宅のある信濃境駅付近。奥様と娘さんとの家族ショット
「富士見町で暮らし始めてもうすぐ2年目を迎えます。都会の生活を断ち切って来たわけですから学び多い人生にしたいと思っています。
おそらく、移住のハードルって「仕事」なんですよね。でも都内にいたって、簡単には就職できません。それは都市も地方も同じことだと思います。企業に属するという働き方じゃなくても、自分自身で作り出すことも選択肢に入ります。地域にあった需要を見極め、時代にあった働き方があるはずです。また職種、給与を選ばなければ、いくらだって楽しい仕事はありますよ。僕は美術専門学校を卒業した後すぐに、北海道の牧場で、月10 万円の酪農実習生のお仕事を一年間体験しました。その時の経験は今の自分にとても影響しています。
給与が高いことよりも、自分にとってどれだけ貴重な体験ができるかどうかが、より良い人生の蓄えになるものだと思っています。」

鈴木さん曰く、これからの時代は、働き方を柔軟に変えられるフットワークがとても重要だといいます。長野県富士見町という自然豊かなフィールド、そして、コワーキングスペース「富士見 森のオフィス」を利用しながら、ここでしか実現できない自分だけの理想の働き方を見つけてみてはいかがでしょうか? 
富士見町では、移住に関する相談を常時受け付けています。
興味のある方はぜひ一度お問い合わせください。

富士見町役場 総務課企画統計係
0266-62-9332 (TEL)
0266-62-4481 (FAX)
mail:soumu@town.fujimi.lg.jp

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