富士見町にUターン。その生活の実情とは?

最近は、地方移住へのハードルが下がりつつあり、2~30代での移住も珍しくありません。田舎への憧れや、新しいことへの挑戦を胸に秘め、行動に移す方も増えてきました。

取材に応じてくださった方は、Webコンサルティング業を営む雨宮伊織さん。富士見町出身であり、東京からUターンで戻ってきた目線で、富士見町の田舎暮らしを伺いました。

生まれも育ちも富士見町。

当時は、週末に両親の農作業に付き合わされていて嫌でしたね。18年間この町にいて、進学と同時に上京しました。そのまま東京でWeb制作の仕事をして、現在の妻に出会います。

将来のライフスタイルや子どもの育児環境を考えた結果、故郷の富士見町に戻ることにしました。もちろん、妻も田舎暮らし賛成派でしたから、自然豊かな環境で生活することに対してスムーズでした。

借家を探すのは一苦労。いかに地域に馴染むかがポイントです。

引越し時は町内の借家を探しましたが、なかなか住まいが見つからず苦労しました。地元住民や子育て世帯と情報交換を行うことで、少しずつ物件情報は入手できたと思います。地道に地域の方とコミュニケーションを重ねることが重要ですね。

富士見町に戻ってきて、今の新田地区の暮らしに至るまで9年が経ちました。

住宅の側にある田畑で、自家栽培で野菜やお米を育てているんです。家族皆で収穫して、自家消費できることは今の暮らしの豊かさに繋がってますね。
自身が育てた農作物は、ご近所におすそわけしたり、逆にいただいたりすることもあります。日々の暮らしで、地方暮らしには持ちつ持たれつの関係性が重要なんだなと再認識させられます。

富士見町の好きなポイントは大きく3つ。

冬には子供たちの為に地域総出でスケートリンク作り
まず1つ目としては自然豊かな点です。東西南北見渡して、アルプスを含めた山々に囲まれた生活はそうそうありません。2つ目は、日常生活を送るにあたって不自由ない暮らしができる点です。スーパーが2つ、ホームセンター・ドラッグストア・100円ショップ、コンビニまであるので、不便は全くないですよ。3つ目は、富士見町を愛す町民が多いことです。この町には「富士見OKKOH」という祭りがあります。
富士見OKKOH
行政主導ではなく、町民の・町民による・町民のためのお祭りなんです。2018年で35回目を迎えることができたのは、町民が地元を愛していて、自分たちで町を盛り上げていこうと行動する方が多いのも理由なのではと思います。私もお祭り中の記事をWebレポーターとして担当していますが、驚くのは子どもの参加率が高いことなんですね。保育園や幼稚園だけでなく、その他大勢の児童達がお祭りに集結します。町の行事に子供たちが参加しやすいのも、富士見町の特徴かもしれません。

富士見町の特徴をお教えします。

富士見町は39の地区が存在しています。いわゆる「区」ですね。区の制度は、はるか昔から続いています。区がまとまって村ができ、村が集合化して町になるわけです。都市部では、都道府県の元に市町村があって、その下に住民がいると言えば分かりやすいですね。区は、今の行政が出来る前から続いている制度です。区が管理するものは、田畑や道路、保有する森林や土地も含まれます。

区の活動について、分かりやすい事例を挙げると、雪かきは分かりやすいかもしれません。都市部にいると、降雪時は行政が道路の除雪を行いますが、富士見では異なります。もちろん国が管轄する町道や県道、国道は行政が行いますが、区が保有管理する道路は、区に加入している町民「区民」が行うんです。家の前だけでなく、その他の道路も区民が集まって協力して除雪作業を行います。除雪だけでなく、道路の清掃や補修もそうです。

区に属す区民が共同作業を行って、集落を維持させているとイメージしてみてください。富士見町は、行政のみが町を管理しているのではなく、各集落の区が管理している、つまり、町民が主導になって町を守っているんですね。人任せではなく、自分達でできることは自分達で行う文化があります。

「出払い」ってご存知ですか?

出払いとは、居住地区の住民に定められた共同作業等に参加することを指します。地区によって内容は異なりますが、地区で所有する森林の草刈りなどが代表的です。道路や水路の維持清掃活動などもあります。区民には、正区民や準区民、中では気付けないことを知ることができるので、「忙しくて大変」なだけじゃないんです。左側写真は、観光道路脇の整備清掃、右の写真は、神社の清掃活動です。

区の制度は、実際に住まないと分からない。

引っ越し時の窓口となる行政では、区のことは管轄外なので、情報を公示することは無いです。居住地区に実際に住んでみないと分からないのが事実ですよ。そして、区や集落について正確な内容を説明できる人も少ないのではと思いますね。ですが、集落や区を誤解されない為にも、区の歴史や仕組みを伝えていく場を創っていくことも重要だと思うんです。

最後に、皆さんへ

日本国内どこに住んでも、その地の文化と暮らしがあります。代々受け継がれてきた伝統もありますしね。田舎を、地方を成立させている仕組みをまずは受け入れてもらえればと思います。集落に住むのか、別荘地に住むのか、選択は人それぞれです。どちらに住んでも良いとは思いますが、文化と暮らしを知る為にも、集落に関心を持ってもらいたいですね。そして前向きな考え方で地方移住を考えてみてください。都会と比べて濃厚な生活が待っているかもしれません。ただただ忙しい生活だけではなく、忙しくも楽しい生活に繋がっていることをご理解いただければ幸いです。

<あとがき>

富士見町では、町外からやってきた人も、区の活動を通じて地元住民と親睦性を高めることができるかもしれません。家探しや子育てをする際にも、地域内の助け合いが関係しています。互いが互いを想い助け合う形が、この富士見町には残っていました。

移住に興味のある方、一度訪れてみたい方は是非こちらからお問い合わせ下さい。
富士見町役場 総務課企画統計係

0266-62-9332(TEL)

0266-62-4481(FAX)

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