農業+IT 新しい働き方の可能性を探る

仕事は一つに絞らなくてもよい。そう教えてくれたのは、富士見町で生まれ、富士見町で育ったという 佐伯幸平さん。
28歳という若さで、ブロッコリー農家と、ITの会社を立ち上げ、二足の草鞋を履いて奮闘しています。
佐伯さんの仕事の特徴は、農閑期に副業をしているわけではないところ。
農業もITも、どちらも本業です。

地方は都心と比べて正直、求人も数も種類も少ないのが実情。
そういった中で、移住する方にとっても「好きな事を仕事にする」→なおかつ、自身のスキルを生かして複数の仕事を持つという佐伯さんのライフスタイルはこれから地方で暮らそうと思っている方々にも参考になるのではないでしょうか?

農業+IT その働き方のきっかけは?

佐伯さん
「幼少の頃、叔父がセロリ農家というのもあり、幼い頃は母に連れられ親戚の農作業を手伝ったりしていました。しかし当時は農家になりたいとは思わず、高校から寮生活のために富士見町を離れます。そこでプログラマーとしてのスキルを身に付け、インターンシップで福井県のITベンチャー企業に行く事になったのが一つのきっかけだったかもしれません」

そこで、『ITと農業』という2つの運命的な出会いをします。それまでの「仕事は一つじゃないといけない」と当たり前のように思っていた考え方に、疑問を持ち始めます。

佐伯さん
「他にも自分のやりたいことをしながら仕事をしたい、という考えが、ずっと自分の中にはあって、そういう会社があったら行きたいと考えるようになりました。
しかし、『二つの仕事を両立できる』ような会社は中々見つからずに断念していました。
ちょうどその頃『農業とIOT』という言葉が世の中に出始めた頃。
調べるうちに、自分でも出来るのではないかと思うようになり、やるなら自分の地元である富士見町でやりたいと思いました。
そのためにはまず、農業と経営を学ばなくてはいけない。
そこで長野県の農業大学校の実践経営者コースに2年間通う事になりました。
簿記や農業経営を学び、農業の実際のフィールドでの実地研修も経験しましたし、その間も、プログラマーとしての仕事は平行してやっていました。」

ついに農業+ITとしてのキャリアをスタート

ITと農業と経営を学んだ佐伯さんは、この時24歳。基盤を作ろうと地元富士見町に戻ります。

佐伯さんのブロッコリ農場。収穫の3日前という事もあり圧巻の風景です。

農業経営で学んだ事を生かして、この富士見町でついに農業経営のスタート。
必要な農地は、地元の方々が「幸平がやるなら!」という事で進んで農地を貸してくれたそう。
ただし、当初、田んぼが多かったエリアで農業経営をするには野菜を作っていかなくては利益も中々残っていかない。その事を学んでいた佐伯さんは、田んぼだった農地を土壌改良し、ブロッコリー畑をこの富士見町で始めます。

佐伯さん
「そして初年度、まだ少ない農地でしたが、育てたブロッコリーの収穫も終わり、きちんと値段もつきました。それにより農業で暮らしていけるのではないか?という自信がついた年でした。ただ、想像していた通り、農業の仕事は忙しく大変です。初年度は100%農業に専念したため、全くITの仕事は出来なかったというのが現状です。」

畑に隣接している小屋での作業も。農作業をしながらのパソコンワークも珍しくないそう。

佐伯さん
「元々この地域の農家の方々は、冬の農閑期には大体副業をして生計を立てています。元々『一つの仕事をしないといけない』という考え方がないのもやりやすかったと思います。
僕自身も農家としての初年度が終わった冬の農閑期から、少しずつWEB制作などのITの仕事を再開していき、農地も年々増やしていく事ができました。農業における時間の配分も徐々になれていったこともあり、夏場の繁忙期でも、どうしたら農業以外の仕事の時間を確保できるかという考えにシフトするようになってきました。」

そして徐々に、この仕事を手伝ってくれる仲間も見つかり、ITの仕事と農業の現場を行き来しながらという当初の構想通りの生活になっていきます。

農業経営で学んだ事を生かし、頭の切り替えと集中力の確保、週一で東京に打ち合わせに行く。その時間を作るために、農業の現場に予め用意しておくことは何か、スケジュールをしっかりと組むことが自然になっていったそうです。

農業とIT どちらも面白い

佐伯さんが大切に育てたブロッコリ。他にも今年はトウモロコシに力を入れてるとの事。

農業を始めた当初は、「これで生活をしていけるのか?という不安が凄くあった」という佐伯さん。農家としての仕事の大変さを身にしみながら何故?当初描いていた”農業とITの2つの仕事を両立する”という軸をキープできたのでしょうか?

佐伯さん
「農業は実際やってみると本当に大変でした。いくら二つの仕事ができるといっても、時間が二倍になるわけではないので、必然的に睡眠時間も削られます。
そんな中でも単純に農業という仕事もITという仕事もどちらも好きなんだと思いますし、どちらも面白い。ITは早いテンポで切り替える。コマンドの中で何回もやり直しがきく。農業は決してやり直しがきかない。長い目線で、五年後を見据えて計画を立てる。ITは短いスパンの中で作業する。その二つの違いがおもしろいです。また、自分の中で最初に感じた、『農業をしながら何か別のことをする』という生き方に、ずっと憧れがありました。そのための器をつくりたいと。昔の自分が入りたいと思うような会社を作りたい。そういった思いは農業を始めても変わらなかったですね。」

そしてついに法人化へ 見据える未来像とは?

2つの仕事を続けていく中で
「農業に対してもITに対しても、どちらの仕事に対しても自身がついてきた」という佐伯さん
プログラマーとしての仕事も森のオフィスの企業との出会いをきっかけに、徐々にIT部門の売上が上がっていった事もあり、ついに法人化へ。
自己満足では終わるのではなく、自分で作った器を共有したい。そんな思いから
2019年 株式会社エボシステムを設立しました。
WEBサイト:https://evosystem.jp/

ITとリモートワーク 農業+αという会社にしていきたい

農業とIT。どちらも好き、どちらもおもしろい、と話す佐伯さん。

佐伯さん
「これからの課題としては、農業とITが、互いにもっと密に絡み、寄り添って交じわることのできる事業に携わっていきたいと考えています。自社のサービスとして、農業を組み合わせたものをこれから実現させていきたいです。名刺の裏にも書いていますが、ITとリモートワーク 農業+○○という会社にしていきたいです。」

近い将来、富士見町から全国へ向けて、『農業×IOT』の全く新しいサービスが発信されるかもしれない。佐伯さんのまっすぐに前を見て話す姿から、そんな頼もしい未来像が見えました。
自分の入りたい会社を自分の手で創る。そのために自分の好きな仕事を極める努力と、熱量を持ち続けること。

“仕事がなければ、自身でその器を作っていく

仕事に恵まれているとは決していえない地方の中で、自分の仕事の理想像を自らの手で作りあげていきながら成長を続ける佐伯さんの姿は自分らしい働き方を模索する方々にとって、とても参考になるお話ではないかと思います。

 

富士見町では移住に関する相談を随時受け付けています。ぜひ、お気軽にご相談ください。

 富士見町役場 総務課企画統計係

0266-62-9332(TEL)

0266-62-4481(FAX)

 

 

ARCHIVE