移住者の声 in 森のオフィス

塚平区の森の中に佇む「富士見森のオフィス」。出身や経歴、移住してきた経緯、それぞれ異なるにも関わらず、なぜか森のオフィスには人が集まってきている様子です。会社員 や個人事業主だけでない多様な働き方がここにはありました。今回はこのオフィスで働く 3名に話を聞いてみました。
(当記事は、富士見町が発行する広報誌『広報ふじみ』2018年9月号の特集企画「移住者 の声 in 森のオフィス」の内容を大幅に加筆修正したものです)

<移住の決め手を教えてください>

神奈川県から夫婦で移住した松田伸江さん

松田:2年ほど前に、富士見森のオフィスに魅かれて夫婦で移住してきました。以前は東京で印刷会社のグ ラフィックデザイナーとして働いていて、森のオフィスを運営するルートデザイン代表の津田賀央さんと出会っ たことがきっかけです。 富士見町とは縁もゆかりも無かったのですが、夫が津田さんに出会って森のオフィスに魅力を感じ、この町に移住したいと言ってきたんです。私としては「ついて行きます」という感じでしたね。 富士見町に引っ越してからは、デザイナーとしてこちらの企業に勤めながら、フリーランスとしても働いています。

東京と富士見町の2拠点で活躍する高柳佑人さん

高柳:ちょうど1年ほど前に東京で開催されていた2拠点居住のイベントがきっかけでした。その1週間後には富士見町を訪ね、1ヶ月後には2拠点居住を始めることにしました。 東京の人材系企業で会社員をしていますが、移住後も週の前半は東京の会社員として、後半は富士見町で仕 事をしながら、森のオフィスの運営にも携わっています。 最近、地方に移住したいという都会の人が増えていますが、なかなか実行できない人への環境づくりや仕組化に関心があったんです。よいきっかけを頂いたので、自分自身も実際に地方へ行ってやってみようと思い決めました。日本全国さまざまな地域を検討しましたが、富士見町がいいと思って決めました。富士見町には当初は誰も知り合いがいませんでしたが、森のオフィスで活動するスタッフに共通の価値観を感じて、この地にやってきました。

茅野市から家族と共に移住した澤井理恵さん

澤井:移住のきっかけは家庭環境の変化です。2011年に結婚して東京から茅野市に引っ越し、2~3年子育てをしていました。東京ではテレビ局で映像制作の仕事をしていて、子育てをしながらも映像の仕事に戻りたい思いがあったんです。ちょうどその頃、富士見町に森のオフィスができたことを知って訪ねてみました。スタッフの方から移住者支援制度を紹介いただいたんですね。ここに活動拠点を設けることで映像制作の仕事に復帰できるのではないかと思い、補助金制度の申請を行い、2年前に引っ越しをしました。森のオフィスのスタッフへの共感と、映像制作に再チャレンジしたいという強い思いが原動力になっていましたね。

<他の地方と比較した富士見町の良さ>

高柳:他の地域を見ていると、精力的に活動している方の多くは、個人が主体である印象が強かったんです。 限界集落などで活躍する人を見ると確かにすごいなと思いますが、個人単位でできることには限界も感じるんです。その方だけに頼っている限りでは、どのぐらい継続性があるかのイメージがわかないなと思いました。一方、森のオフィスでは、多種多様な人が集まってくる環境が整っていて、新たな事業立ち上げやプロジェクトが継続的に生まれやすいという側面があると思います。既にある環境に、自分がどのようなソフトを乗せて作っていくかという観点で捉えると、とても面白いと感じました。

もう一つは富士見町の自然の豊かさです。東京では駅直結のオフィスビル内で働いていて、自然や四季を感じることが無かったのですが、森のオフィスでは、一歩外に出れば南アルプスの風景が目に飛び込んできます。木々が揺れる様や鳥のさえずりが聞こえてくることに、非常に感じるものがありました。

松田:都心から2時間弱で移動できる点が良いですね。買い物から病院まで町中で完結できるのも有難いです。あとはなんと言っても山々の風景でしょうか。疲れた時や一息つきたいときに、目の前の山々が安堵をもたらしてくれます。自然のパワーにいつも助けられているんです。

澤井:引っ越し後に気付いたことですが、町も学校も集落も「ヒト」によって支えられている点が驚きでした。実は集落の仕組みすら知らなかったのですが、活動に参加することで区の一員になれた感覚があります。集落の活動では大変なこともありますが、それも楽しみながら生活 しています。「ヒト」との交流が日々の生活の刺激になっているのかもしれません。

<富士見森のオフィスの印象はどうでしょうか>

専門の講師を招いたクリエーター講座など、森のオフィスでは様々な交流が開かれている。

高柳:都内のコワーキングスペースと比較すると、利用者同士の交流が盛んです。都内の施設も見てきましたが、ここまで多くの交流が生まれているオフィスは見たことないですよ。仕事の作業場として通うたのみの場所でなく、日常生活と一体化しているのが特徴だと思います。

澤井:森のオフィスでは、様々な得意分野を持つ会員の方が大勢いらっしゃることもあり、自分だけでは取り組むことが難しい分野でも、仕事の依頼や相談が可能なんです。同じ会社の人間でなくても、仕事を共有したりアイデアをもらったりできる点は素晴らしいなと思います。そして何より嬉しかったのは、映像制作に励む同業者の方がいたことです。同じ空間の中で、今後私たちが富士見町で何をしていくのか、どのようなことにチャレンジできるのか、という点について話ができるのも、前向きになれるポイントです。

松田:通っていた美術大学と雰囲気が似ていますね。それぞれ取り組む仕事内容は異なりますが、相談事や新しいアイデアの創出時に同じ空間にいる人と共有できる点が良いなと思います。

<今後の活動を教えてください>

澤井: 地域の人が地元の魅力を自らPR・発信する機会を増やしていきたいですし、町を盛り上げる動画制作にも励みたいですね。動画で伝える面白さや可能性を伝えていきたいです。

高柳:移住者と地元の方が森のオフィスで活動する交流を広げていきたいです。双方ができること・できないことをフォローし合える関係性を築くことが理想です。地域の企業や個人事業主の方の困りごとや課題を解決する手伝いに取り組みたいです。

松田:デザイナーとして、地域に少しずつ貢献できればと思います。デザインは、個人の方や企業であっても、なかなか取り組みにくい分野だと思うのですが、課題やお困りごとがあればぜひ話を聞かせていただきたいです。課題を抱える側と解決に導く側の双方が、新 しくチャレンジできる環境を作っていきたいですね。

【Profile】

澤井理恵:茅野から家族と共に移住。富士見に来てからは動画制作を中心とし た活動を送る。

高柳佑人:リクルートキャリアに勤務しながら、東京と富士見町の両方 で活動。

松田伸江:神奈川から夫婦で移住。夫婦で商品パッケージや冊子などのデザインを行っている。

【あとがき】

富士見森のオフィスには、職種や業種も異なる様々な人達が集まり、新しいコミュニティや働き方が生まれています。横の繋がりが広がりやすく、多様な関係性を築けることも魅力的なポイントのようです。富士見森のオフィスの利用は、1日でも月単位でも可能なので、ご興味ある方は、一度訪ねてみてはいかがでしょ うか?きっと新しい出会いが待っていることと思います。

企画: 栗原大介, 写真:Haruhi Fujii, 文章:丸山大地, デザイン:松田伸江

富士見 森のオフィス
〒399-0211 長野県諏訪郡富士見町富士見3785-3 富士見 森のオフィス
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